何かで紹介されていて、読んでみた、『エスケープ・トレイン』のご紹介です。

自転車を購入する前に10冊程度本も読みましたが、ロードレースのための身体の作り方、ツール・ド・フランスの歴史、自転車の歴史、写真集などといった本で、ロードレースの小説があることすら知りませんでした。

今回楽しみに読んでみて、感想を書きます。

まず、実際のレースや実在するチームをモデルに書いているであろうことが容易に想像できるので自転車競技を少しでも知っている方ならこの部分だけでも楽しく読めると思います。また、レース中の駆け引きなども分かりやすく書かれていて、先日のシマノのイベントでお聞きした内容を思い出しながら読んでいるととても臨場感がありワクワクします。

主人公が落車するシーンがありますが、これはレースを観ていてもいつもドキドキします。でも、シマノの監督さん曰く「危険だと思うけど、実際にその場にいるとそんなことはどうでもよくなって、一番でゴールをしたいという気持ちでドーパミンが大量分泌される(笑)」というようなことを仰っておられました。
そう思えるのも才能なんだろうなと思うのです。私は危ないからゴールは皆がした後でいいやと思ってしまうヘタレなので。

さて、自転車の描写はとても分かりやすく良いのですが、小説全体としてはもう少し突っ込んだ描写が欲しかったです。ページ制限でもあったのかな?と思うほど駆け足で書き込める部分を表面だけなぞらえてしまっているので、え?もう終わり?と物足りなさを感じました。

281ページというページ数なので、倍くらいあると小説としてももっと楽しめるものに仕上がったのかなと思います。主人公の湊人くんの恋愛を書き込むのもいいし、選手としての成長を詳細に綴るのも面白そうだし何にしてももっと掘り下げてもらえるとさらに面白いかなという感想でした。